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被ばくした場合の症状と応急処置について

ユーザー sotarokob の写真

東日本大震災で被災した東北地方の方々へ、心よりお見舞い申し上げます。

福島第一原発での事故が発生して以来、
再び爆発事故が起きたり火災が起きたりして事態が深刻化しないかどうか、
埼玉県に住んでいる私にとっても不安な日々が続いていますが、
15日に政府が調査を要請したIAEA(国際原子力機関)の世界最高研究レベルの専門家の方々による
放射線量の測定分析が現地で始まって以降は、
「これでやっと科学技術的な根拠のある正確な状況の把握と客観的な健康への被害の有無の情報が得られる。」と
気が落ち着いてきています。

今回の震災では、本当に海外からの多くの支援が寄せられていて、うれしい限りです。

震災発生以来、日本のテレビからの情報と同時に
特に原子力安全と放射線医療に関する情報に注目して
イギリスやアメリカの報道から情報収集を行なってきましたが、
イギリスBBCの記事で、マンチェスター大学の被ばく療法専門医の先生のアドバイスを含んだ
被ばくした場合の応急処置について」の情報を見つけましたので翻訳して紹介します。

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中程度のレベルの被ばく(放射線障害)を受けてしまった場合、下記の順序で症状が進行するとのことです。

  1. 被ばく数時間以内に、めまい・吐き気・嘔吐の自覚症状が現れる。
  2. 続いて、下痢・頭痛・発熱の自覚症状が現れる。
  3. その後、自覚症状が消えて数週間の潜伏期間に入る。
  4. 数週間の潜伏期間を経た後、内蔵疾患や甲状腺異常など、さらに病状が悪化する。

屋外で被ばくしてしまった場合、取りあえず自分で応急処置するには、

  • 屋外で汚染された衣服と靴を、屋外に脱ぎ捨てる。
  • 屋内に入ったら、すぐに皮膚を石鹸水で優しく洗い流す。

その後運良く、被ばく治療を受けることができれば、

  • 損傷した骨髄の影響への治療として、白血球増血剤の投与を受ける。
  • また、内蔵疾患のダメージを軽減する薬による治療を受ける。

ことができるとのことです。

しかしながら、数多くの人が同時に被ばくしてしまうと
迅速な被ばく治療を受けることできないと想定されるので、
被ばくして中程度の放射線障害を被ってしまったら
とりあえず、自分でできる応急処置=「皮膚を石鹸水で優しく洗い流し続ける。」
を行なうしかないと思います。

特に、幼児や若年者は成長期で細胞の新陳代謝が活発なので
放射線障害の進行が早いため、
老人や大人よりも優先して応急処置を施さなければなりません。

また、以下が問題となっている放射線同位元素の特徴と、健康への影響とのことです。

ヨウ素131
若年者の甲状腺がんを引き起こす恐れがあるが、半減期が短く1ヶ月以内にほとんどが自然消滅する。
被ばくした場合、迅速に安定ヨウ素剤を服用することで安定ヨウ素で体内を満たして安定ヨウ素のみを吸収するのを促進して、
放射性ヨウ素131が体内へ取り込まれてしまうのを防ぐことができる。
セシウム137
体内に入っても長期間は残存せずに排泄等で1年以内にほとんどが消滅するが、土壌・水中に染み出て環境汚染を引き起こすと
長期間残存して問題となる。
体内の軟部組織に蓄積する。
プルトニウム
体内の骨や肝臓に蓄積する。

以下が、BBC健康欄の原文記事です。
http://www.bbc.co.uk/news/health-12722435

http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-12732015

ちなみに補足の情報ですが、
WORLD NUCLEAR ASSOCIATION(世界原子力協会)で定める基準では、

  • 年間350ミリシーベルトの被ばくが、チェルノブイリ事故で避難勧告された基準値
  • 年間1000ミリシーベルトの被ばくが、放射線障害の自覚症状が現れる基準値

とのことです。

下記の被ばく基準値チャートも、参考になります。
http://www.newstatesman.com/blogs/the-staggers/2011/03/msv-radiation-cha...