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クラウドサービスへの移行と危機管理

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既に良く知られていますが、ビジネスICT技術の世界では
手元(自社内)にサーバーを設置して自らが管理する従来のクライアントサーバー型システムを、
クラウド提供業者がデータセンター内で運用するクラウドコンピューティングサービスに移行する
トレンドが加速していて、
今後5年間で全世界の60%の政府・企業組織のICTインフラがクラウドに移行すると
予測されています。

いうまでもなく、情報システムをクラウドへ移行するメリットは

  • 導入運用コストが安い。サーバー資源を効率的に共有して使った時間分だけ支払えば足りる。
  • 時間をかけないで導入できる。構築の手間をかけずに、ビジネスアプリとデータベースを利用できる。
  • システム拡張が容易。使用ユーザー数に応じて、システムを容易に拡張できる。
  • モバイル端末との連携。外出先からのモバイル端末でのデータアクセスを容易に実現できる。
  • システムアップデートが容易。アップデートは全てクラウド提供業者が定期的行なってくれる。

点が挙げられ、
要するに、「自前でサーバーの構築運用に必要なスキルを習得することなく、
全ての情報システムをクラウド提供業者に委ねることによって、安価・容易に情報システムを構築できる。」という点で、
クラウドサービスは非常に魅力的です。

しかしその一方で、先月2011年4月に起きた
S社のクラウドサービスでの個人情報の大量流出事件とA社のWebクラウドサービスのシステムダウン事件を機に、
欧米では「クラウドサービスへの移行と危機管理対策」について活発に論じられるようになった点が
非常に気になります。
今後、欧米やインドが連携して安全なクラウドサービスを実現するICT技術を急ピッチに研究開発してゆくことが
必須となっているので、目が離せないところです。

BBC記事
http://www.bbc.co.uk/news/business-13451990

現状では、

  • しっかりしたデータバックアップポリシーの策定・実践とバックアップするデータの厳重管理
  • 1つの提供業者のサービスがダウンした場合に他の業者のサービスに切り換え利用できるように、複数の業者のクラウドサービスを使う。
  • 互いに地理的に離れた場所にあるデータセンターで提供される、複数のクラウドサービスを並行して利用する。
  • 常にクラウドシステムと手元(自社内)のシステム間での同期をとっておくことで、システムダウンのリスクをなくす。(ハイブリット型クラウド)
  • 厳重なパスワード管理を実践する。複数の業者のクラウドサービス・ネットサービスを使う際には、複数の異なるパスワードを用意する。
  • 信頼できるクラウド提供業者かどうかを見極める。詐欺などの犯罪の雲隠れを目的としたクラウドサービスに常に警戒する。

などの自前での危機管理対策の策定が求められるクラウドコンピューティング技術ですが、

今後開発されてくる、よりシステム障害リスクに強い安全なクラウド実装技術について注目し、新たに習得してゆくことが求められそうです。